第48章 【Desire】20 玲聖さまリクエスト
ロシアと中国が連携して、日本の内戦状態を解消すべく、軍隊を発進させたという情報が飛び込んできた。
このままだと侵略戦争に発展するのは火を見るより明らかだった。
反乱軍は千代田区の陸軍本部に、総攻撃を仕掛けた。
ここを潰さなければ、和平への道は拓けない。
海・空軍は融合派が多数だったため、この攻撃を静観していた。
戦いは長引いた。
その日は、快晴だった―――
櫻井が陸軍の使者として反乱軍本部を訪れた。
停戦の申し入れだった。
受諾するかは検討するという返答を持って、櫻井は帰っていった。
統括である大野と参謀の二宮の姿を見ても、眉一つ動かさなかった。
暫く後、大野の部屋に二宮が訪ねてきた。
相葉と松本も酒瓶を下げてやってきた。
この4人は幼馴染で、同じ反乱軍に属していた。
今でも大野の相談役として、連合反乱軍では特殊な地位にいる。
「ちょうどよかった…皆に話がある」
統括である大野は正直に櫻井のことを話した。
それを聞いて驚いた3人も、櫻井とのことを話した。
「俺たち、騙されていたのかな…」
二宮のつぶやきに、沈黙が落ちる。
「いや…でも彼は俺達から情報を引き出すような真似はしなかったし、今日だって堂々とやってきた…そんな意図が隠れていたようにはどうしても思えない」
大野が言うと、相葉が頷いた。
「櫻井さんは…後から知ったんだと思う…最近、会うこともなかったから、知ったのは最近だろう」
「気づかなかったなあ…とても軍人には見えなかった…」
松本はため息を吐きながら絞り出すように言った。
「どちらにしろ…彼は敵だったってことだ…」
大野の声は硬く、そして悲しみに満ちていた。
停戦の申し入れは聞き入れられなかった。
空軍と海軍の工作にも失敗した陸軍は白兵戦に持ち込んできた。
乱戦で、東京は混乱を極めた。
すぐそこにはロシアと中国の軍隊が迫っている。
早く終結させなければ…
焦っていた反乱軍に、政府軍の将校が拘束された。
将校クラスが拘束されるのは珍しいことだった。
陸軍の情報を掴むため、統括自らが尋問にかかった。
その将校は陸軍大尉松岡と言った。