第47章 【Desire】19 うめさまリクエスト
この二人、実は幼馴染。
お互いが中学生のとき、松本が櫻井を押し倒してからベタベタに甘いカレカノ…ではなくカレ彼なのだ。
「ほら…翔、泣くなよ…」
「ごめんね、潤…冷たい態度取って…」
「そんなの気にしてないから…」
「潤…ちゅーして?」
「ん…」
櫻井の身体をぎゅっと抱きしめながら、松本は熱いキスを落とした。
「これ以上はだめだよ…止まらなくなるから…」
「潤…」
「そんな寂しそうな顔するなよ…家行こ?」
そっと櫻井の耳元に口を寄せると、にやっと笑いながら松本は囁く。
「今日は親いないから…たっぷりかわいがってやるよ。翔…」
聞いているのもアホらしいほどのラブラブっぷりである。
「あー寒い…」
その年度ももう終わろうとしている3月。
櫻井はそのまま五十嵐学園の大学部への進学が決まっていた。
松本はなんとその年の生徒会選で、書記に就任していた。
櫻井に変わって忙しい日々を過ごしていた。
生徒会室での仕事を終えた松本は足早に生徒玄関に向かっていた。
「ん…?」
生徒玄関の下足箱の影に誰か座り込んでいる。
「誰だ…?」
近づいてみると、櫻井であった。
「しょ、翔!?なにしてんだよ!」
寒いのにコートも着ないで櫻井は座り込んでいた。
「潤…」
遅い時間だったので、生徒もいないがらんとした玄関。
「翔!?何泣いてんだよ!?」
櫻井はべそべそと泣いている。
「だってぇ…」
「寂しかったの…?」
「だって…これから俺が大学に行ったら、全然会えなくなるのに…だから、潤が帰るまで待ってようと思って…」
「バカだな…こんなに寒いのに…」
冷え切った櫻井の手を取ると、そっと唇を付けた。