第47章 【Desire】19 うめさまリクエスト
またかとゲンナリする反面、松本の言っていることにも一理あるものだから、止める者もいない。
いつも下級生が遠慮して言えないようなことを、松本はズバズバというから、実は結構人気があったりする。
その日も大いに議論がなされて、会議は終わった。
ぐったりとした出席者たちは、三々五々会議室から出ていく。
予算について言い分が通らなかった松本はぶーたれて、まだ会議テーブルに座っている。
「今日はもういいよ。役員会議は明日にしよう」
「でも。会長…」
「いいんだって…さ、かえっていいよ」
生徒会の役員たちは、チラチラとまだ残る松本を見ている。
「会長…松本がまだ…」
「ああ。なんか言い分があるんだろ。俺一人で大丈夫だから、な?」
そこまで言われては、役員たちも引き下がらざるをえない。
荷物を持って、役員たちは会議室を後にした。
暫く、松本と櫻井はにらみ合いのような状態で過ごした。
「話がないなら、帰る」
櫻井は立ち上がると、隣の生徒会室に入っていった。
松本は暫くぶーたれていたが、おもむろに立ち上がって生徒会室のドアを開けた。
「翔!」
「わっ…潤…」
「ごめんなっ…あんなことばっかり言って…!」
がばっと松本は櫻井を抱き寄せた。
「ううん…いいの。だって潤は下級生のこと思って言ってくれてるのわかるから…」
「翔…」
「潤っ…」
そう、この二人デキてる。