• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第45章 【Desire】17 りおなさまリクエスト


「雅を死なせるくらいなら、俺が死ぬ」
「潤…」
「雅が死ぬのならば、俺も死ぬ」
「やめろ…俺はおまえを利用したんだ」
「知っておる、そんなこと。俺のことはどうでもいい。雅…こんなことをしても、無門は帰って来ぬ」
「…わかっておるわ…戻ったとて、生きられるかもわからぬ。ならば、無門は翔どのと生きることを選ぶだろうよ」

裏切り者には死を…
例え投降してきたとて、死を賜るだけだ。

ならばとことん、生きるだろう。

無門なら…できる


「無門に殺してほしいのか」

雅はなにも答えない。

「それでも…無門の心は雅には向かない」
「…そんなこと、わかってる」
「俺は、雅の心がどこを向いていたっていい」

潤はじりっと足を動かした。
びくりと雅の体が震える。

「逃げよう…?雅…」

伊賀の里者で居る限り…
無門と翔を付け狙っていかねばならぬ。

そして、雅にも潤にも安息は来ないだろう。

「俺と一緒に…」


いつの間にか、二人のそばに影があった。

まるでそこに大昔から居るような風情で立っているのは、無門だった。

「無門っ…」

咄嗟に二人は飛び上がって近くの大木に身を隠した。

潤は懐から短刀を取り出すと、柄を口に咥えて辺りを見渡した。

「遅い」

聞こえたのは翔の声。

潤の腕を焼けるような痛みが走った。

/ 1000ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp