第42章 【Desire】14 ぽっぷさまリクエスト
それが恋だとわかるのは、すぐだった。
何度目かに身体を重ねた後、離したくなくなった俺はとうとうあいつに正直に打ち明けた。
”おまえのことが好きになった”って。
そしたら、あいつ…泣いて喜んで…
”身体だけの関係でもよかったけど…でも、俺も…”
嬉しそうに、嬉しそうに言うあいつを俺は力いっぱい抱きしめた。
俺には、恋人ができた。
「松本行くぞ」
櫻井課長直々のお声がけ。
「はいっ…」
嬉しそうにあいつはバッグを持って飛び出していく。
櫻井課長は、営業1課の若きトップ。
あんな年で課長になるんだから、将来は社長かなんていわれてるくらいで。
その課長が、あいつのこと気に入ってしょっちゅう帯同させる。
俺はあいつと組まされてはいたが、まだまだ新人の身だから覚えることが多くて。
二人だけで仕事をするなんて夢のまた夢だった。
「しっかし松本、気に入られてるねえ…」
大野先輩の声がする。
「おーちゃん、しっかりしないと取られるよ?」
「ば、ばかっ…声がでかい」
相葉先輩の声は、小さかったけど俺にはしっかり聞こえてしまった。
なんだと…課長も大野さんとできてんの…?
じわり、心の中がどす黒くなった。