第37章 【Desire】9 mimimamaさまリクエスト
「翔ちゃんっ…翔ちゃんっ…」
身体が冷たい
「目を開けて!ねえ、智…どうしよう…」
「とにかく服を着せよう…」
ふんわりと温かいものに包まれた。
うっすらと目を開けると、そこに飛び込んできたのは智くんの泣き顔だった。
「あ…気がついた?」
がばっと抱きしめられて、智くんの肩越しに和也の泣き顔も見えた。
「翔ちゃん…」
そのまま和也は俯いてしまった。
何でないてるの…?
和也…智くん…
「今…服を着せてあげるからね…?」
身体を離されて、ここが外であることがわかった。
和也の店の裏手にある、細い路地。
なんでこんなとこにいるんだ…?
だってさっきまで…
細切れの記憶が蘇る
「あ…あ…いやだ…見ないで…」
智くんの腕から逃れようとしたら、強く抱きしめられた。
「いいから…誰も見てない…俺たちしか…」
硬い声…
ああ…俺の身に何が起こったか
この人達は見ちゃったんだ
「見ないで…見るなぁ…」
「翔ちゃん…翔ちゃん…」
和也の小さな手が、俺の肩を抱いた。
温かいけど、一刻も早く逃げたい。
なのに、身体は動かない。
「お願い…見ないで…触らないで…」
暗い…
ここは、奈落…