第4章 185階の家
「ニノ…?ねえ、俺、なんかした?」
「してないから…ほら、お風呂…」
やっぱり顔が見れなくて、俺は強引に相葉さんの腕を引っ張って風呂に連れて行った。
「ちょっ…ニノ…」
「ゆっくり入ってね!」
そう言うと強引にドアを締めた。
しばらくドアの外で物音を聞いてたら、諦めたらしく浴室に入っていく音が聞こえた。
そのままリビングまで戻ると、ソファに倒れこんだ。
「び…びっくりした…」
そう、俺はびっくりしてるだけだ。
決してドキドキしてるわけじゃない。
だって…相手は相葉さんだよ!?
幼なじみみたいなもんだし…しかも男だよ…!?
俺、ゲイとかじゃないし。
つか、あの人だってゲイじゃないでしょ…
なんなのよ…
わけわかんないよ…
「うもー!!!」
ぼすんとクッションを床に投げつけた。
「なんなのよ…」
20年近く一緒にいて…
なんであんなこと…
なんだか泣きそうになって、振り払うように俺は立ちあがった。
台所に入って、適当に飯を作り始めた。
米を研いでスピード炊飯にして、松阪牛をどう調理しようかと思ってたら、相葉さんが風呂から上がってきた。
ずいぶん早い。
「ニノ…?飯なら俺が作るから」