第4章 185階の家
部屋に入ったら、相葉さんの顔がまともに見られなくなった。
「ニノぉ?どうしたんだよ?」
あんたがっ…あんなこと言うからでしょうがっ…
「おっ…お風呂っ…入ってきたら!?」
「えっ…まだ飯食ってねえのに…」
「俺が適当に作っておくからっ…そんな汗まみれで気持ち悪いでしょっ…」
「ニノ…」
相葉さんが俺の後ろに立った。
「なんだよ…俺、なんかした?」
しただろうがっ…思いっきり…
相葉さんの身体から、汗の匂いと香水の香りが漂ってくる。
すごく近くに、立ってる。
「ねえ…ごめんて…」
いつもそうだ。
俺が怒ると、自分が悪いのかどうかもわかってないのにすぐ謝るんだ…
なんでだよ…バカ…
「こっち、向いて?ニノ…」
そっと肩を掴まれて、相葉さんの方を向かされる。
まだ顔を上げられない俺を下から覗き込んでくる。
「どうしたの?真っ赤な顔して…」
まだ汗が滴ってる顔が俺を見てる。
「熱でもあるの?」
額に手が触れる。
温かくて、でっかい手…
「な、なんでもないよっ…」
その手を振り払って、俺は風呂に向かった。
給湯ボタンを押してリビングに戻ると、相葉さんは途方にくれたように佇んでた。