第33章 【Desire】5 リンネコさまリクエスト
「あ、あの~…」
「ん?」
なんだか知らないけど、高級なレストランみたいなとこに居る。
「お、俺やっぱかえ…」
「時間はあるって言ったじゃん」
ディスコスターは、メニューにさらっと目を通すとウエイターを呼んだ。
個室に入ってきたウエイターは、跪かんばかりの勢いでディスコスターの注文を聞いて、部屋を出ていった。
その間俺は、何をしていいかもわからず、窓の外に広がる東京の夜景を眺めていた。
…なんで、こんなとこいるんだろ。
服装なんて、適当なコートにジーパンにスニーカーって格好で…
絶対に、こんな格好で来ていい場所じゃないのはわかっていた。
だけど、ディスコスターと一緒だったから、あっさり通されたんだよね…
しかもこんな豪華な個室…
ビルの最上階らしく、窓の下に広がる夜景は宝石箱のようにキラキラひかってる。
赤いふわふわの絨毯に、まっしろなクロスの掛かったテーブルが部屋のセンターに置かれてる。
その中央には長いキャンドルが灯されていた。
俺とディスコスターは、白い木枠でできた練絹の椅子に腰掛けてる。
夢を見ているんだと思う。
夢だからいっかと開き直った俺は、とっても美味しく食事をいただき、お酒も頂いた。
ディスコスターが勧め上手だから、どんどんどんどん飲んだ。
気がついたら、天井の高い部屋に居た。
「ふぁっ!?」
飛び起きると、とっても寝心地のいいベッドの上。
ベッドの近くに置いてある、一人がけのソファでディスコスターは優雅にバスローブを着て、座っていた。
「よく眠ってたね」
声も…顔も…
やっぱりディスコスターで…
うん。夢、決定。
「ここは、どこ?」
「ここ?俺んち」
「へえ…凄いや」
「え?」
「夢なのにリアルぅ~」
ぶふぉっとディスコスターは、何故か噴き出した。
「面白い。智…」
ディスコスターは立ち上がると、俺をベッドに押し倒した。
「こんな面白い男の子、初めてだよ」
ディスコスターの身体からは、ボディソープの香りがしていた。
匂いまでリアル…
「ねえ、セックスしよ?」
「え?せ、せ…」
「俺、智のこと、抱きたいなぁ…」
「えっ…俺、男だよ!?」
「俺、男も女も好きなの」
夢…だから、いっか。
「いいよぉ…」
やけに、痛い夢だった。