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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第33章 【Desire】5 リンネコさまリクエスト


翌朝起きると、俺はディスコスターの腕の中だった。
あれ…まだ夢みてるんだ…

黙って起き上がると、まじまじとディスコスターの顔を見た。
だんだん…

これは夢じゃないってわかってきて。

なんだかケツが痛い。
そりゃそうだ、あんなものが入ったんだから…

もう恥ずかしいやら、なんなのかわからない。
パニックになった俺は、泣きそうになりながらベッドの下に落ちている服を着込んだ。

寝室を出ようとして、ふと振り返る。

ベッドの上で、健やかに眠る顔…
やっぱり夢じゃない


俺の…ディスコスターだ…


夢じゃない証拠を残したくなって…



持っていたメモ帳に、ディスコスターの寝顔を書き留めた。
随分、いい出来だった。

でも、勝手に顔を描いたから、持って帰るのも悪い気がして…

そっとそのページをちぎると、ディスコスターの枕元に置いた。


「さよなら…」


こんなの、夢のほうがいい


どう考えたって、この先なんてないんだから。




その後、どこをどう帰ったのか覚えてない。

やっぱりあれは夢だったんだって自分をやっと納得させることができた頃…

初夏になっていた。

「暑いなあ…」

授業で出た課題がなかなか終わらなくて。
深夜に、やっと大学を出た。
守衛のおじさんに挨拶して門を出ると、突然目の前に人が出てきた。

「ひゃあっ…」
「さーとしっ」
「え…?」

夜なのにサングラスを掛けてて、全身黒尽くめの男…

「で、出たぁ…」
「こら、人聞きの悪いこと言うな。生きてるぞ」
「へ…?」
「忘れたの?俺だよ」

サングラスを取ると、優しく笑う瞳が見えた。

「…嘘…」
「…探したよ…黙って居なくなっちゃうんだから…」

ポケットからぴらっと何かを取り出した。

「あのさ…これ…」
「あっ…」

あの日描いた俺の絵だった。

「今度のジャケ写に使いたいんだけど…駄目?」
「…え…?」
「正式に、契約がしたい」
「う…嘘…」
「嘘じゃないよ。それとね…」




俺の、恋人にならない?






まだ、俺は夢を見てるんだ。


そう






ディスコスターの恋人になるっていう途方もない夢を





「好きだよ。智」
「…夢、だよね?」
「ぶふぉっ…」





END

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