第4章 185階の家
しばらく待っていると、下から物音が聞こえてくる。
階段の間からみてみると、手すりに手が乗っているのが見えた。
やっときたよ。
がちゃがちゃ他の階の扉を開けて閉める音を聞きながら、笑いがこみ上げてきてならない。
素直に一階一階やってるよあの人…
「ちくしょー!ニノー!」
階段室に響くような声で怒鳴っている。
ばかじゃないの…あの人…
「テメー見てろよ!絶対、振り向かせてやっからな!」
は?何いってんの?
「俺のこと好きって言わせてやるからなーっ!!」
ばっ…
ばかじゃないの!
何いってんの!?
俺は慌てて非常階段の扉を押して廊下に出た。
顔が真っ赤になってる。
な、なんて言ったのあの人…
振り向かせるとか…好きって言わせるとか…
これじゃまるで…俺のこと好きみたいじゃん!
「へ…?好き…?」
ガチャっと背後の扉が開いた。
「居たー!ニノぉ…」
相葉さんはクタクタとその場に崩れ落ちた。
「お前…もう…鬼かよ…」
まじまじと相葉さんの顔を見つめてしまう。
「……?」
不思議そうな顔で相葉さんは俺を見上げる。
汗まみれになって…息切らして…
俺に、会いに来たの…?