第32章 【Desire】4 さちえさまリクエスト
「好きです。俺と…付き合ってくれませんか?」
脂汗っていうのかな…
なんだか知らないけど汗が噴き出してきた。
「俺ずっと…学校説明会で部活説明に出てきた先輩を見て…一目惚れしたんです…」
そう言えば…中学生の時…
一度だけだったけど、部活説明に引っ張り出された。
嫌だって言ったのに、ステージに乗せられて…
描いた絵を皆に見せられて…
あんまり恥ずかしかったから、次の年からは絶対に出なかった。
「でも俺、美術の成績2だし…先輩に近づくことできなかった…」
相葉が喋ってるのに、俺の目の前には二宮の顔がちらちらしてた。
「男同士だし…だから、ずっと見てるだけだったけど…でも…」
ぐいっと腕に力が入って抱き寄せられた。
「俺…」
「ちょっ…離せよ!」
「俺、どうしても…諦められない!」
「に…二宮はっ…」
どんと胸板を押して、身体を離した。
「二宮は…美術の成績1だ!」
「え…?」
「それでも…俺の後追っかけて美術部に入って…男同士だけどその…俺に、好きだって…言ってくれた!」
混乱して何を言ってるのかわからなくなってきた。
でも…言わずには居られなかった。
「今だって、一生懸命…絵描いてるんだ!」
「大野先輩…」
「おまえにできなかったこと、二宮は全部したんだ!」
「あ…」
「俺は…相葉が好きだった二宮が好きだ!」
「えっ…」
何言ってんだろ。
「相葉を好きになったからこそ…だから俺のこと…二宮は好きになってくれたんだ!だから…そんな二宮が…すっごい好きだ!」
ああ!もう何言ってんだよ!俺!
「わあああああああんっ…」
どすんっと俺に何かぶつかってきた。
「ひゃああっ…」
「おおのせんぱいいいいいい!」
「に、二宮!?」
「おれもおおおおすきいいいいい!」
ぐっちゃぐちゃに泣いてる二宮だった。