第4章 185階の家
『お前んち何階だっけ?』
「え?俺んち…185階だけど」
『えっ…』
「知らなかった?俺んち185階なんだよ?」
『ばか…ホントは何階なんだよ…』
「いやいやいや…相葉さん…」
『185階なわけねえだろうが』
「なんでそんなこと聞くのよ」
『階段で行ったほうが早そうだから…』
あいつ…何回も来てるのに、俺の部屋が何階か覚えてないのかよ…
「もー…俺んち何回来たんだよ…」
『ごめんて…何階だっけ?』
部屋番号の頭が階数だって、わかってないのかな…?
「ちなみに聞くけど、俺んちが何号室か覚えてないわけ?」
『え…覚えてない。いつもなんとなく行くから…』
「あのさ…」
そういえばあの人、インターホン鳴らしたことないわ…
あれ、部屋番号入れないと鳴らせないもんね。
だからいつも電話してきてたのか…
「はあ…あなたにとって、俺ってその程度だってことね…」
『はぁ?何言ってんだよ』
「折角この前かあちゃんに貰った松阪牛、解凍して待ってたのに…」
『えっ…まつざかうし!?』
「あーあ…もう冷凍庫にしまっちゃおうかな…」
『まっ、まっ…待って!』
「残念だなあ…相葉さん…」
そう言って電話を切ろうとしたら、凄いだみ声が聞こえてきた。