第28章 number00
「智…?」
ショウの手が、俺の肩にかかった。
「ん?」
「疲れていますか?」
「ああ…まあね…」
「朝よりも元気がない」
そう言うと、そっと俺の肩を擦った。
「お風呂から上がったら、マッサージしましょう」
「いいよそんな…」
「なんで?マッサージは嫌い?」
「うん…くすぐったくてだめなんだ」
「そうですか…」
とても残念そうな顔をするから、なんだか申し訳ない気分になった。
「じゃあ…こうしててあげる…」
耳元でそう囁かれたと思ったら、後ろから抱き寄せられた。
「っ…な、何すんだよっ…」
「抱きしめています」
「わっ…わかってる!なんで抱きしめてんだよ!」
「…落ち着きませんか…?こうしていると…」
「へ…?」
「俺は、落ち着くよ…?」
…なんでこう…
敬語を不意にやめるタイミングとか、絶妙なんだ…
これもプログラミングされたものだってわかってるけど、こんなに造形が凝ってるから、ショウがまるで生きてて、自分の意思でこんなことやってるように錯覚してしまう。
それにこの体温…
「ショウ…」
「ん…?」
「おまえ、あったかいな…」
「ふふ…平熱は36度6分に設定されています」
「なるほど…」
絶妙だな…