第28章 number00
「マスター。お味はどうですか?」
「うん…旨いよ」
朝食を食べながらそう言うと、ショウはニッコリと笑う。
男の俺でも惚れ惚れとするような、キレイな顔で笑われるからドギマギしてしまう。
おまけに…
「マスター。いってらっしゃいませ」
家を出る時は、靴を履くのを手伝ってくれて、最後に手を取って甲にキスするのだ。
さすが女性向けに開発されてるだけあって、もう姫みたいな扱いを受ける…
「あのな…明日っから、これやめてくんねえ?」
「何故でしょう?」
「俺は男だから…」
「マスターの嫌なことは致しません」
胸に手を当ててお辞儀すると、またニッコリと笑った。
「あとな…マスターってのもやめてくんねえ?」
「かしこまりました。どうお呼びしたらいいでしょう?」
「んー…男同士だし、名前を呼び捨てでいいよ」
「では…智」
「ん?」
「遅刻します。いってらっしゃい」
突然、ショウが顔を近づけてきた。
「えっ…」
ちゅっと唇にキスすると、またニッコリと笑った。
「いっ…いってくる!」
心臓がなぜだかバクバクいってる。
理由がわからないから、駅まで全速力で走った。
お…俺は、ノーマルだ…
なんで男性型のアンドロイドにときめかなきゃならんのだ。