第28章 number00
そのアンドロイドは、家事専用ということだった。
「はあ…転売なんてしませんが…」
「ならよかった。コイツはかなり優秀ですよ~!」
にこにこと二宮はことを進めていく。
「いや、でも…何で俺だったんですか?」
「厳正なる抽選の上ですよお…」
「絶対ウソだろ…」
「…まあね…」
暫くの沈黙の後、二宮は事実を語りだした。
「まずあなたが美術教師であること。それがひとつ」
「はあ…」
「造形など不自然な点がないか、チェックしていただきたい。我々だとどうしても点が甘くなる」
黒縁の眼鏡をキュッと上げた。
「それと…一人暮らしという点です。家事専用で作ったのですからね…そこの性能を見極めて頂きたい」
「まあ、別に…俺もできるけど家事くらい…」
「だから評価できるでしょう?…後は、あなたが男性であるということ」
「は?」
「このアンドロイドは、男性モデルなんです。ですから、男性としておかしな点がないか、評価していただきたいんですよ…」
おい…普通はかわいい女の子にしないか?
「なんで男なんだよ」
「実は介護用のアンドロイドは、女性モデルが多いんですよ…でもね、実は…」
そこで二宮は言いよどんだ。