第28章 number00
「マスター、起きてください。朝です」
ショウが今日も時間きっかりに起こしに来た。
「ああ…ありがと…」
寝ぼけたまま見上げると、いつもと変わらない笑顔。
…ほんとに良く出来てるよなあ…
「マスター、朝食が出来上がっています」
「ああ…わかったよ」
アンドロイドのショウが家に来たのは、一週間前。
いつも通販をしてるウエブサイトの懸賞に、当選したのだ。
『最新型アンドロイド一体プレゼント!』
そんな文字が踊る画面を見て、ほしいなと思ったわけじゃない。
アンドロイドは、高級品で。
発売当初より安くなったとは言え、最新の高級外車が数台買える値段で。
庶民になんか手が出ない。
主に国から支給されて、介護の現場なんかで活躍してるらしいが、そんな仕事に縁のない俺は、実物を見たこともなかった。
当選するわけがない。
二等の最新型のパソコンが欲しかったんだ。
当選通知が来たときには驚いた。
だが、これには裏があったのだ。
「え?試作品?」
「ええ…そうなんです。ですからお客様にはモニターになっていただきたいんです」
二宮という担当者はつらつらと注意点など喋っていく。
「ですから、転売などなさるなら、当選は無効となります」