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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第27章  SATOKO


「え…?」
「なんで俺の名前、知ってるの?サトコちゃん…」
「えっ…あっ…」
「俺、まだ名刺渡してないよね…?サトコちゃん…」

そうだ…

大野って男の姿じゃ何度も来てるけど。
この格好で来るの初めてじゃないか…

冷や汗が吹き出してきた。
心臓がバクバクいって、暴走してる。

どうしていいかわからなくて、俺は喋ることができない。

松本さんは、そんな俺を見ながらくすくす笑ってる。

「…かーわいい…」

俺の手から、松本さんの手が離れていく。

松本さんはカウンターから出ると、店の外に出ていった。
姿が見えなくなると、椅子からずり落ちた。

「あ…あわわ…どうしよう…」

もう、逃げるしかない。

箱をカウンターの上に置くと、財布から一万円札を取り出して置いた。

ショルダーバッグとコートを掴んで店のドアを開けようとしたとき、松本さんが戻ってきた。

「…なにしてるの?サトコちゃん」
「かっ…かっ…かえるっ…」

松本さんを突き飛ばす勢いで店を出ようとした。

「待てよ!」

コートを持つ腕をぐいっと引っ張られた。
慣れないヒール付きのブーツだから、よろけた。

どのままドスンと松本さんの胸に抱きとめられた。

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