第27章 SATOKO
不思議だった。
男の俺には、多分物足りないくらいのアルコールで。
だけど、女装してる俺は、なんだかふわふわした気分になってきた。
「このお酒は卵からつくられているんですよ」
「そうなんだあ…」
乳白色のお酒は、アドボカートというお酒でまろやかなで甘い。
ライムのお酒も入っているみたくて、しつこくなく爽やかな飲みくちになってる。
ジンジャエールの炭酸が、喉に染みる。
「ケホっ…」
ちょっと喉がイガイガしたから咳をすると、男はちょっと心配そうな顔をした。
「風邪でもお召ですか」
「えっ…おめ、おめしって…」
「クス…風邪でもひいてるの?ってこと…」
「あ…う、うん…ちょっとだけ。だからこんな声で恥ずかしい…」
男声なのは、風邪のせいにしとこう。
我ながら名案だと思った。
「いけませんね…熱は?」
「あ?え…、ええ。喉だけだから、大丈夫…」
男はそっと小皿を差し出してきた。
そこにはドライフルーツが載っていた。
「え…?頼んでないよ?」
「サービスです。ドライジンジャー…喉にいいと思いますよ」
にっこりとまっすぐに俺を見つめて笑う。
惚れ惚れとするほどいい男だった。
意思の強そうなしっかりとした眉。
なのにその下にある瞳は、くりっとしていてまつ毛が濃い。
通った鼻筋の下には、ぽってりとしたピンク色の唇。
美しいな、と思った