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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第27章  SATOKO


まだ早い時間だったけど、店が開いていてよかった。
他にお客さんは居なかった。
指し示された席に座ると、男は温かいおしぼりを差し出した。

「いらっしゃいませ。J's Barへようこそ」

小さなお店で…

カウンター席は5つ。
その後ろにあるボックス席が2つあるだけ。

カウンターは一枚板の立派なもので、それが店の雰囲気を重厚に見せていた。

男の後ろには壁一面が酒棚になっている。
下の方はむき出しのまま酒瓶が置かれているが、上の方はガラスの扉がついている。

手を拭いて棚を眺め渡していると、男は微笑んでイートメニューを差し出してきた。

「ご注文はお決まりですか?」

男に後光が差してるように見えた。
下の方の酒棚の壁面は、照明になっている。
ベージュのアクリル面板がはめ込んであり、柔らかな光で酒瓶を照らしていた。

「…お客様?」
「あっ…」

思わずうつむいた。

メニューに目を落とすけど、これは食べ物のだ。
ショットバーに来ていきなり飯を頼むなんて論外だろう…

「ご気分に合わせてカクテルをお作りしますよ?」

柔らかな声に、目だけ向けて頷く。

「…じゃあ、甘いのを」

小さな声で言うと、男は頷いて作業に取り掛かった。

シェイカーに乳白色のお酒と透明なお酒を計って注ぐと、カシャカシャと振る。

それを氷の入ったタンブラーに注ぐと、更にそこにジンジャエールを入れて軽くステアする。

ライムを添えると、俺の前にそっと出した。

「スノーボールでございます」

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