第25章 カウントダウン
ダイニングテーブルに激突して、物が床に落ちてくる。
「痛ってぇ…なにすんだよ!」
懐に手を突っ込むと、拳銃を取り出した。
「え…ちょ…ちょっと待てよ…」
いい格好だよ。
怯えた顔で、床に這いつくばる姿。
「落ち着けよ…偽物だろ?それ…」
銃口を向けたまま立ち上がると、翔を見下ろした。
「知り合いに貰ったの…」
「え…?」
「改造銃」
青かった顔が、真っ白になった。
「じょ、冗談だろ…?やめろよ…」
暗い愉悦が込み上げる
「命乞い…してよ」
「え…?」
「みっともなく、土下座でもなんでもして…さ…」
くっくっくと笑いがこみ上げてくる。
もっと怯えればいい。
もっと怖がればいい。
僕の張り裂けた胸から流れた血に塗れればいい。
そしてその胸に縋り付けばいい。
「跪いて、手をついて謝れよ」
「何をだよ!俺は…」
「愛してるって…言えよ…」
勝手に涙が溢れてくる。
でも悲しいんじゃない。
「愛してるって言えよっ…」
銃口は、翔を真っ直ぐに射止めている。
「落ち着けよ…な…?」
床に這いつくばって、後ずさっていく。
「それが答えなの…?」
愛してるって、言えよ
それで話は終わりなのに