第24章 BOY【N side】 EP.3
「みんな、しあわせそう…か…」
やっぱり、智のあの言葉は…
ベッドの上の、リップサービスだったのかなあ…
あんなにかっこいいんだから、本命なんて他にいるよね。
いや、それどころか、よりどりみどりだろ。
でも…どうやら俺は、試験には合格したみたいだし…
「初恋…すぐに失恋…」
…でも…あの人の傍にいられるから…
しあわせ、なのかな?
次の日、アテナを訪ねる。
「今日から、よろしくお願いします!」
玄関先で頭を下げると、智が吹き出した。
「な、なにしてんの?和也」
「えっ?」
「ああ…もしかして、ヒュアキントスに雇うからって連絡入れたから勘違いした?」
「え?え?」
がばっと智は俺を抱きしめた。
「おまえ、俺の恋人になったんだぞ?」
「えええええ!?」
「ふふ…もう…智ったらせっかちなんだから」
笑いながら副社長が玄関の鍵を締めた。
「さ、これからの仕事の話しよ?」
俺の仕事とは…つまり、アテナのスタッフになるというものだった。
親の借金のことも、色々聞かれて…
「じゃあそれは…追々どうにかしていこうね」
「え…だって…どうにもならないくらいの金額だけど…」
副社長の雅紀は、いたずらっぽく笑った。
「いろいろと方法あるからさ。一緒に考えていこうね?」