第24章 BOY【N side】 EP.3
本当に色々聞かれて…
根掘り葉掘り、身上調査みたいな感じ。
だから俺が高校休学中だってわかると、すぐに二人は身を乗り出した。
「「いきなさい!」」
俺はアテナの正社員にはなるけど、条件としては高校をきちんと卒業すること。
ダブってもいいから、卒業しなさいってことだった。
それまでは、アルバイトってことにするって…
「…でもさ…借金…」
「だから、それはどうにかするから。だから安心して勉強しなさい」
ぽんぽんと雅紀が俺の頭をなでた。
智はにこにことそれを見ている。
「…いいの…?」
「いいに決まってるだろ」
智がぎゅっと手を握ってくれた。
「実はね。俺はアラブに油田持ってるんだ」
「はあ?」
「だから、色々気にすんな」
「で、でも…」
「ま、嘘だけどね」
なんだかはぐらかされてしまったけど…
いっぺんに俺は肩の荷が降りた気がした。
この二人なら…なんだかすべて任せていいような気がした。
「でも俺…そんなに甘えらんないよ…」
「いいから」
ぐいっと抱き寄せられた。
智のいい匂いに包まれると、涙が滲んだ。
「ね?俺のこと…好き?」
「…好き…」
「じゃあ、一緒に生きていこうよ…」
この言葉がダメ押しになった。
なんだか知らないけど、俺はワンワン泣いていた。
「ふふ…ほんとは泣き虫なんだね…」
優しく、雅紀が俺の顔をタオルで拭ってくれた。
智はずっと俺を抱きしめててくれて…
なんだか子供に戻ったみたいだった。
その日から、俺はアテナで住むことになった。
なんと智と雅紀はここに住んでいるんだって。
3人の奇妙な共同生活が始まった。
智が、なにやって稼いでる人なのか
雅紀って一体、タチなのかネコなのか
いろんな疑問は後々解けていくけど、それは別のお話。
今、俺はとてもしあわせ…
二人の恋人は、俺をとても大事にしてくれるしね…
え?雅紀も恋人になったのかって?
それもまた、別のお話…
ね?
【N side EP.3 END】