第3章 車の中でかくれてキスをしよう
少しだけ、俺を抱きしめる手が緩んだ。
「だから…俺、勘違いしないように…翔ちゃんち、来るのやめんたんだ…」
「え…?」
「なんで…キスしてくれたの…?なんで合鍵くれるの…?ねえ…翔ちゃん…答えて…」
ニノの手が俺から離れていく。
思わず振り返ってその腕を掴んで引き寄せた。
胸の中に、ニノを抱きしめてしまう。
「翔ちゃん…」
身体を離して、ニノの顔を両手で包んで上げた。
「勘違い…して?ニノ…」
「え…?」
「好きだから…キスした。好きだから…合鍵渡した。好きだから…早く元気になって欲しいから…」
「翔ちゃん…」
「だから…勘違いして…?いつでも抱きしめてあげる」
そっとまたニノを抱き寄せた。
「いつでも…待ってるから…」
ぎゅうっと力を入れると、ニノも俺にぎゅうっと抱きついてきた。
「翔ちゃん…嬉しい…嬉しいよ…」
そのまま俺たちは、いつまでも抱き合った。
いつまでも、いつまでも…抱き合った。
ニノを腕の中に、閉じ込めた…
【END】