第24章 BOY【N side】 EP.3
そりゃ、暴力を振るわれることもある。
嫌なことを強要する客もいる。
だけど、俺は自分の知らない俺が居ることを知ったんだ。
「…俺、男に抱かれるの悪くないなって思ってる」
そう言うと、社長も副社長も驚いた顔をした。
「でも…好きになるのは女の子なんでしょ?」
それが自分でもよくわからない。
もう最近、女子とは付き合ってないし…
女子とのセックスってどうやるんだっけか。
「さあ…もう随分恋愛なんてしてないから、わかんないです」
「そっか…」
社長はそれだけいうと、ちょっと遠い目をした。
「じゃあ、使えないなあ…」
「えっ…」
「僕のビデオは、僕の夢の詰まったものにしたいんだ。二宮くんがノンケなんだったら、本当に夢のあるもの作れないから…」
「ちょっと、え?」
「ごめんね。社長がこう言ってるから、この話なかったことに…」
「ま、待ってくださいよ!」
ここまで来て引き下がれなかった。
それに金…やっぱり必要だから…
「じゃ、じゃあ、俺のこと抱いてよ?ね?」
俺は副社長の腕を掴んだ。
「それ見てから、決めてくんない?」
ふたりとも驚いた顔をしたけど、押して行くしかない。
「お代要らないから、試してみてよ?ね?」