第24章 BOY【N side】 EP.3
「あれー?しゃちょお?どこー?」
男の声がするけど、社長の声は一向にしない。
手持ち無沙汰にしてると、突然ローテーブルの向こう側でガツンって音がした。
「ひえっ…」
びっくりしてると、ムクリと人が起き上がった。
「痛い…」
後ろ頭に派手に寝癖を付けた男だった。
「肘…ぶつけた…痛い…」
寝ぼけてるのか、ぶつぶつ独り言を言うと、俺を見た。
「わ…君、誰?」
つか、おまえが誰だよ…
「あ、もう…社長。こんな所に居た」
さっきの男が戻ってきて、寝ていた男をひっぱり起こした。
「ほら、さっき言ってた二宮くん。来てもらったよ?」
「あっ…ああ!もう来てくれたの!ありがとう!」
いっぺんに破顔すると、俺に向き直った。
「アテナの社長の大野っていいます。よろしくね!二宮くん」
マジか…社長なのかよ…
なんで床で寝てんだよ…
こちらも白のコットンシャツを着ている。
カーキのカーゴパンツでゴシゴシと手を拭いて握手を求めてきた。
俺も手を差し出して握手をすると、ふにゃんっと雰囲気が変わった。
あ、かわいいかも。この人…
「あ、自己紹介まだだったね。僕は副社長の相葉です。よろしくね、二宮くん」
おしゃれな男も手を差し出してきた。
二人と握手し終わると、早速商売の話になった。