第3章 車の中でかくれてキスをしよう
夜の闇が、俺達を隠してる。
それでもその闇からも隠れるように、俺達は身を少し伏せた。
「ニノ…」
「翔ちゃん…」
ニノのきらきらした瞳が俺を映してる。
また唇が近づいてきて、俺達は車の中で隠れて何度もキスをした。
何度も、何度も…
いいんだよ…また傷が治ったら俺から飛び立っていけばいい。
また元のニノに戻っていけばいい。
だけど今だけは、俺の傍にいればいい。
俺の腕の中に…
俺はお前が好きだから
あの時からずっと、ずっと…好きだから…
渋滞を抜け出し、家につく頃にはニノは泣きつかれて眠ってしまった。
ニノを抱えて家に入ると、ベッドに寝かせてその寝顔をいつまでもいつまでも眺めた。
「ニノ…いつでも、俺の家においで…」
そう言って、その手に家の合鍵を握らせた。
そのまま、ニノの横に滑り込んだ。
あの頃のように腕枕をすると、俺も眠りに引きこまれていった。
ふわふわふわふわ…
夢もみなかった。
翌朝起きると、ニノの姿は隣にはなく。
合鍵もなかった。
リビングに行くと、ソファにニノが座っていた。
「ニノ…おはよ…」
近寄り肩に手を置くと、ニノは顔を上げた。
手には、合鍵を握っていた。