第22章 BOY【S side】 EP.1
「あ…味見って…」
俺のほうが食べられたんだけど…
「ふふ…赤くなっちゃってかーわいい。食べちゃいたいな…」
すっと顔が近づいてきた。
じっと至近距離で見つめられて、どうしていいかわからない。
「翔ちゃんって、かわいいんだね」
「え?」
「それにとっても美人…」
いつの間にか、両腕が俺の腰に回しかけられて抱きしめられてた。
ごりっと何かが俺の腿に当たった。
これって…
「あ。ごめん…おっきくなっちゃった…」
で…でかい…
「ごめんね。俺の息子、言うこと聞かなくってさ」
そう言って凄く爽やかに笑う。
「おい…カズ、いい加減にしろよ?」
そう言って、今度は松本さんが割り込んできた。
「やあ…翔…」
抱かれた夜のことを思い出した。
とっても優しく、俺のこと抱いてくれた。
滅多に普通に抱いてくれる人はいなかったから、この人に抱かれるのは嫌じゃなかった。
2回目の指名の時は、ちょっと嬉しかった。
「今日はよろしくね?」
「うん…」
「こっち、おいで…」
そう言って手を差し出してくれた。
素直に手を握ると、ふっと笑って抱き寄せられた。
「あ…」
「硬くならないで…?ただ料理を作るだけだからね?」