第22章 BOY【S side】 EP.1
急に雰囲気が変わった
「櫻井くん…下の名前は?」
「え…翔…」
「翔くんね…翔ちゃんって呼ばせてもらおうかな。女の子みたいにキレイな顔してるから…」
「な、なんだっていいよ」
「ふふ…照れてる?かわいいね…」
じっと目を見られて、ドギマギした。
さっきまでの爽やかさはなくなって、なんだか凄まじいまでの色気が漂ってる。
「あー…雅紀のブレーキ外れちゃった?」
大野社長が横でクスクス笑ってる。
「外してないよ。ウォームアップ手伝ってるだけ…」
微笑みながら相葉さんは俺の頬を手で包んだ。
「翔ちゃんは、もともと男が好きなの?」
「え…小さい頃から…」
「そっか。嫌々男を相手にしてるわけじゃないんだね?」
「は?嫌に決まってんだろ」
「…それは、売り専が嫌ってことだね?」
「え?…まあ、そりゃそうだろ…」
何言ってんだコイツも…
なんだか調子が崩れる。
「そっか…」
すっと親指が、俺の唇に触れていった。
「翔ちゃんは…好きな人、いるの?」
「え…?」
「だから…好きなオトコ、いるの?」
ゆっくりとした口調で、でも問い詰めるわけでもない。
「い…いない…」
「そう…じゃあ、遠慮しなくてもいいんだ…」
「え?」