第22章 BOY【S side】 EP.1
「わかった…」
そう言って相葉さんはため息を吐き出した。
「櫻井くん、君の事務所には話を通すから、今晩一晩つきあってもらえる?」
「あ?今からすんの?いいよ…別に。だけど22時までには上がらせてもらうから」
「…なんで?」
「弟と妹が家で待ってんだよ」
「わかった…そういうことなら、早めに上がれるようにするから」
そういうと、松本さんとカズさんに指示を出し始めた。
社長の大野さんは俺の顔をしげしげと見つめている。
「しかし、キレイな顔してるね…夢みたいだ…」
時間は午後の7時を回ったとこだった。
松本さんとカズさんがキッチンでなにやら動き回ってる。
「…なんの撮影すんの?ホンバンじゃねえの?」
相葉さんに言ったら、うっすらと笑った。
…なんだよ。この人もキレイな顔してんじゃん…
「今日は…松本くんと一緒に料理作ってもらうから」
「は?」
「本番はなしね。試し撮りだし」
「ああ…そう」
しないならしないで楽だからいい。
それに、今日の指名料の他にも包んでくれるって言うから、こんな楽なことはない。
「別にいいよ。なんだってさ…」
そう言うと、そっと相葉さんは俺の肩を抱いた。
「リラックス…しようか?」