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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第22章  BOY【S side】 EP.1


その会社は、目玉が飛び出るほど高級なマンションの中にあった。
といっても場所は新宿三丁目。
目と鼻の先には新宿二丁目がある。

「ここいらは、中国人や韓国人が多いのよお…」

なんでも歌舞伎町で働く外国人で、一山当てたものが多く集まるマンションのようで。
だからこんないかがわしい会社が入っていても、誰も何も言い立てないから便利なんだとか。

「ここの1002号室ね?間違えないでね」

そう言ってお兄さんは帰っていった。

エントランスに入ると、豪華なテーブルセット。
そしてオートロックの自動ドアの横には受付のようなものまである。

お姉さんがニコニコとこちらを見ている。

なんだか居心地が悪くて、その横にある呼び出しの数字盤を素早く押した。

「1002っと…」

数字を押して呼び出しボタンを押すと、スピーカーから男性の声が聞こえた。

『どちらさま?』
「あ…ヒュアキントスから来ました。櫻井と申します…」

ヒュアキントスとはうちの会社の名前。
ギリシャ神話に出て来る美少年の名前だそうだ。

すぐに自動ドアが開いた。

『そのドアから入って?エレベーターでどうぞ』

言われなくてもそうする。
10階まで階段で行くバカがどこに居るんだ。

「どーもー」

それでも愛想笑いをカメラに向けて俺はドアから中に入った。

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