第20章 Eternal YOU~白光
時刻は朝の8時を回ろうとしていた。
湯気の立つカップを見つめながら、懐かしい味に昔を思い出していた。
この家には…まだたくさんの和也の思い出が居る。
そんな中、過ごさなければならない櫻井は辛くないのだろうか。
「なあ…櫻井…」
「なんでございましょう」
「櫻井は…ここに居て辛くないのか…」
「辛い…?」
「ここには…和也の思い出がたくさんある」
空になったカップを櫻井は下げて行った。
「左様でございますね…ですが、私は幸せです」
「え…?」
「ここに居れば…和也様と離れることはありませんから…」
突然、衝動が起こった
暗い、衝動
俺が長い歳月を苦しんで欲した時間を…
こいつは…
櫻井は…
手に入れていたんだ
ワゴンにカップを置く後姿に向かって駆け出した。
「大野様?」
振り返る間も与えず、俺は櫻井をベッドに押し倒した。
「何を…大野様っ…」
「おまえはっ…おまえはっ…」
おまえは和也を…
俺の和也を…
「おやめくださいっ…大野様っ…」
櫻井のジャケットに手をかけ、乱暴に剥ぎ取ると、ネクタイに手をかけた。
「おやめくださいっ…」
懇願の声は、耳に届かなかった