第20章 Eternal YOU~白光
暫くすると、櫻井の身体は離れて行った。
温もりがなくなると、身体を寂寥が支配した。
だが…これはこれから一人で抱えていかなかければならない寂寥だった。
櫻井の後姿を追おうとする手をなんとか止めた。
「お茶を…」
そう言って櫻井は茶葉を用意した。
暫くすると、芳香の漂うティーカップを俺に差し出した。
「本日はカンニャムでございます」
「え…?」
「昨日、大野様がお見えになるので取り寄せました」
「…覚えていて…」
「はい。大野様が今でもお好みなのか…わかりませんでしたが…」
カンニャムは…貴重な種類の茶葉で…
和也の母親がこの茶葉が好きで、この家にくるとよく櫻井にねだって淹れてもらった。
「…ありがとう…」
櫻井は微笑んで俺にティーカップを渡した。
「今日は…お帰りまで、私がお世話させていただきますので…どうぞごゆっくりとお過ごしください」
「え…?」
「お加減が悪そうですので…」
「そんな…櫻井は今日休みなんだろう?」
「ですから…本日は大野様のお世話だけさせていただきますので…」
そういうと、櫻井はゆったりとした動作で俺の傍に立った。
「どうぞ心置きなく…おくつろぎください」