第20章 Eternal YOU~白光
しばらく本を持ったまま、櫻井を待った。
寝室をノックする音が聞こえると、櫻井が入ってきた。
「遅くなりまして…」
「いいや…こちらこそ、休みなのに無理を言って…」
「どうか、お気になさらず…」
ベッドの傍までワゴンを運んでくると、櫻井は俺の顔を覗き込んだ。
「眠れませんでしたか…」
「ああ…本を…」
黙って櫻井は本を受け取った。
「夢を…見させてもらった…ありがとう…」
「いいえ…礼など…それは大野様の夢でございますから…」
「…とても…儚い夢だったよ…」
また、涙が伝い落ちた。
「俺には…過分な夢だった…」
「大野様…」
「現実にはならない…過分な夢だったよ…櫻井…」
いつの間にか、俺の手を櫻井は握りしめていた。
「俺は…和也が好きだったよ…」
「ええ…」
「ずっとずっと…和也のことが…」
「ええ…ええ…」
「好きだったんだ…」
ぼたぼたと涙が勝手に溢れ出てくる。
昨夜、あれほど泣いたのにまだ出てくるのか…
涙など、枯れてしまったと思ったのに。
いつのまにか、櫻井は俺を抱きしめていた。
その胸の温かさに、俺はいつしか声を上げて泣いていた。
子供のように…声を上げて…