第20章 Eternal YOU~白光
「わかっているだろう…俺は聞いたんだ二宮に…」
「な、なんのことでしょう…手を、離して…」
「櫻井っ…頼むっ…あの本なら…」
「…え?」
「あの本なら、二宮に会えるのだろう?」
その眼には…涙が溜まっていた。
「大野様…」
「すまない…本当は、誰にも言わないと二宮と約束したんだが…どうしても…」
和也様が亡くなるほんの数日前…
同じクラスなのに、滅多にしゃべることもなくなっていたが、たまたま大野様は和也様と喋る機会があった。
その時に…聞いたというのだ。
あの本のことを…
「あいつは…本当に嬉しそうに…お前のことを語っていた…」
「大野様…」
ああ…
大野様、あなたは…
「俺はずっと誤解していた…中学に入って、和也は相葉とばかり仲良くして…俺は…こんな邪な心を持っているばかりに本質が見えていなかったんだ…」
あなたも…和也様を…
「和也が本当に愛していたのは…お前だったんだな…」
ぎりっと私の腕を握る手に力が入った。
「大野様、痛い…」
「このこと、黙っているから…だから…櫻井、あの本を俺に貸してくれないか」
その瞳から、ぽろりと一滴涙が零れた。