第20章 Eternal YOU~白光
自室にあの本を取りに戻った。
本当は…誰にも見せたくはない。
ここには私と和也様の思い出がたくさん詰まっている。
だけど…この不思議な本のことを他言されてしまっては、この本は私の手元から永遠に消えてしまうだろう。
仕方が…ないのだ…
客間に戻ると、大野様はパジャマを着てソファに座っていた。
「無理を言ってすまない…」
「いえ…その代わり、今晩一晩だけでございます…いいですね?」
「ああ…ありがとう…」
千櫻記と書かれたタイトルを、大野様は指で辿っている。
「一人にしてくれないか…」
「畏まりました…では、明朝…」
「ああ…おやすみ、櫻井」
「おやすみなさいませ、大野様…」
静かに客間のドアを閉じた。
一体…あの本は、大野様にどんな夢を見せるのだろうか…
自室に戻り、家令への報告を終わらせると、沈み込むようにベッドに倒れた。
なんだか疲れた…
私と和也様の初めての夜を過ごしたこのベッドは…
寝ていると苦しい
思い出に縋るような、殊勝な性格ではない。
だが、あまりにも大きなものを失ってしまった私は…
脳裏に居る和也様と、今でもここで愛し合っている
そう、ここが…
私と和也様の愛の巣なのだ
「和也様…」