第20章 Eternal YOU~白光
「よく…降る…」
「この時期の雨は…降るごとに寒さを増します…」
少し冷えてきたので、ヒーターの温度を上げた。
「櫻井は…この家に来て何年になる?」
「20年になります」
「そうか…中学を卒業してすぐ…?」
「左様でございます」
「では…二宮が生まれてからのことを全部知っているんだな」
「そう…なります」
大野様は窓辺からソファに戻って、テーブルにカップを置いた。
「紅茶…美味しかった」
「ありがとうございます」
「二宮みたいに…甘ったるい…」
お茶のお代わりを淹れると、また少し口をつけた。
「櫻井、そこに座ってくれないか。立っていられると話しにくい」
「畏まりました…」
本来はお客人が希望しても、同席するなどもってのほかなのだが…今日は特別だ。
向かいに腰かけ、浅く座る。
「…ありがとう…」
「いえ…」
長い、時間が始まる…
和也様の思い出話は、ぽつりぽつりと進んだ。
小さな頃の泣き虫だった話や、小学校の頃の話…
しかし、話が中学に進むころ、また大野様は黙ってしまった。
「…大野様…?」
「あ…すまない…」
時間もだんだん遅くなってくる。
あまり遅くなるようなら、泊まっていただくようにとのことだったから、寝室の用意をしようと立ち上がった。