第20章 Eternal YOU~白光
スープとサンドイッチ、そして和也様のお好きだったジョルジの茶葉を用意する。
サーブは私一人をご希望されたので、ワゴンに乗せて客間に戻った。
「大変お待たせをしました」
「いや…食事まで、申し訳ない」
ソファの前にある、大理石のローテーブルに食事を並べる。
「どうぞ、お召し上がりを…」
大野様は私を見上げた。
「……?」
「ありがとう、櫻井…さん」
「どうぞ、櫻井と呼び捨てに…小さな頃は、そう呼んでいただいておりました」
「ああ…そうだったね…」
湯気の上がるスープを眺めると、一口召し上がった。
私を見上げて微笑まれたので、お口に合ったのだろう。
ゆっくりと食事を済ませると、大野様はまた黙ってしまわれた。
食器を下げ、ジョルジの茶葉をティーポットに用意する。
「小さな頃も…そうやってよく、紅茶を淹れてくれた…」
「左様でございましたね…」
カップに紅茶を注ぐと、芳香が立ち上った。
「お待たせいたしました。ジョルジでございます」
「二宮が…好きだった茶葉だね」
「左様でございます…」
大野様はカップを持つと、窓辺に立たれた。
そのまま庭を眺めておいでだったので、私は食器を下げた。
戻ると、同じ姿勢で庭を眺めたままだった。