第20章 Eternal YOU~白光
「明日のことは気にしなくていい。ゆっくりと休め」
「ありがとうございます…松本さん」
静かに微笑むと、松本さんは旦那様の後を追って下がっていった。
「大野様…」
全く動かなくなってしまった背中に手を添えて、中に入るよう促した。
「今日は…客間をご用意いたしましたので、そちらでお話をさせていただきます」
「ああ…頼む…」
その顔色は、真っ青で。
故人を懐かしむという感じではなかった。
「どうか…なさいましたか?」
「いや、なんでもない。案内を頼む」
和也様と同じ年だが、大野様は和也様よりも大人びていた。
そのまま屋敷の中を先導し、客間に案内した。
リビングとベッドルームの二間続きの客間は、ロココ調に統一されている。
これは亡き奥様のご趣味だったものだ。
「ただいまお茶をお持ちしますので、少々お待ちくださいませ」
「ああ…」
白絹のソファに深く腰掛けると、背もたれに身体を預けて目を閉じてしまった。
身体の調子が良くないのだろうか…
「大野様、お食事はお済みでしょうか?」
「ああ…いや、今日は…」
「では、食事も…」
「いや、食欲がないんだ」
「しかし…では、軽いものをお持ちしましょう」
「ああ…頼む」