第19章 Eternal YOU
翔はとても勉強熱心で。
机の横に置いてある本棚にはぎっしりと書籍が詰まっている。
お父様の書斎の横にある図書室には、翔と家令の松本だけが自由に出入りしていいことになっている。
そのくらい、翔は勤勉なのだ。
僕も勉強は好きなほうだけど、翔には敵わない。
立ち上がって翔の机の前に立つ。
デスクライトをつけて、本棚を眺めた。
その中に、古い本があった。
誰の著作だろう。
手に取って眺めてみたけど、その著者には覚えがなかった。
「千櫻記…?」
開いてみると、古い活字体の小説のようだった。
翔を見るとぐっすりと眠っている。
起きるまで…そう思って、僕はその本の一ページ目から開いた。
「ん…」
目を開けると、薄暗い自室の天井が見えた。
「あ…これは、寝すぎてしまったか…」
ふと部屋の隅を見ると、デスクライトが灯っている。
「和也様…?」
私のデスクで、和也様は熱心に本を読んでいた。
「あ…翔、起きた?」
声が少し掠れている。
立ち上がると、私のベッドの傍まで歩んできた。
少し、歩き方がおかしい。
「…どうなさいました?」
「うっ…ううん。なんでもない…何か飲む?」