第19章 Eternal YOU
「翔…なにかして欲しいことはある?」
翔は眼鏡の奥の目を緩ませた。
「大丈夫でございます。和也様はお勉強なさってください」
「いいんだ…3日間、勉強することは禁止されたから」
「なぜでございますか」
「翔を怪我させたのは僕だから…」
「そんな…あれは事故でございます」
翔は眼鏡の奥の瞳を曇らせた。
昨日の夜、階段から落ちた僕たちは、病院に担ぎ込まれた。
幸い、翔の怪我は足首の捻挫と少々の打撲だけだった。
僕は翔に守られていたから…どこにも怪我はなかった。
今日は朝から、お父様に呼び出されて命じられたのだ。
3日間、翔の看病をするようにと。
幸い、月曜日は創立記念日で休みだ。
だから今日から3日間、翔につきっきりで面倒みるようにと言われた。
「そのようなこと…私は大丈夫でございますから、どうぞお部屋に戻ってお勉強を…」
「だから、お父様から禁止されたんだって…」
「だめです。お戻りなさい」
「翔…」
翔は手を伸ばして僕の頬を手で包んだ。
「和也様は、私の心配などしなくていいのです。だからお部屋に戻って、勉強をなさってください」
翔は眼鏡越しにまっすぐ、僕の目を見た。
「…お父様の命令には逆らえないよ」
「和也様…」
「僕の不注意なんだ。だから…僕のやりたいようにやらせてくれ」
「…旦那様には私から言っておきますから…」
困り果てたように、翔は眉を下げた。