第19章 Eternal YOU
「こなくてもいい」
玄関前の大階段を登りながら、僕は翔を拒絶する。
朝、たったあれだけの時間なのに、僕をいつも翻弄する翔と二人きりなんて…
とてもじゃないけど、耐えられない。
「和也様…これは、旦那様のご命令です」
「僕がいいって言ってるんだろ。勉強くらい、一人でやらせてくれ」
高校生になってから…夜は翔が自室に入るのを拒絶している。
お父様は、僕が大人になった証拠だからと、一人でなんでもやることを許可してくださった。
でも、朝の時間帯だけは…
この時間は翔に、僕の執事としての仕事をさせるようにと言われた。
将来に渡って、ずっと翔は僕の執事なのだからと。
「櫻井の仕事を全て取り上げるようなことはしてはいけないよ…」
お父様の命令は絶対だった。
だから…
「黙っていればわからないから」
「…和也様」
「僕の部屋にはこなくていい」
そういって翔の視線から逃げようとしたその時、僕は階段から足を踏み外してしまった。
「和也様っ…」
翔の声が聞こえたかと思ったら、世界が180度回った。
気が付いたら大階段の下に、翔もろとも落ちていた。
僕はどこにも怪我をしていなかった。
翔が僕を…守ってくれたから