第19章 Eternal YOU
なんであんなからかい方をされなければならないんだ。
夕食の時間まで僕はイライラしていた。
あんまりイライラしていたから、お父様に話しかけられても上の空で。
なにをしゃべっていたのか、わからなくなってしまった。
「和也?どうした」
「あ…いえ…なんでもありません」
「今日は様子がおかしいな」
「昨日…遅くまで勉強していたので…」
「そうか…どこかわからないところがあったのか?」
「いえ…そういうわけでは…」
「テスト前でもないのに…一体どうしたんだ?」
大食堂のテーブルはとても広くて。
お母様が亡くなってからは、僕とお父様だけでいつも食事を取っている。
お父様の後ろには、家令の松本が。
僕の後ろには、僕の執事の翔が立っている。
「ふむ…櫻井」
「はい」
「今晩は和也の勉強をみてやりなさい」
「畏まりました」
「お父様…一人で平気です」
「何を言っている。お前の志望大学は櫻井の母校でもある。勉強を見てもらいなさい。…そうだな。これから入試が終わるまで、ずっとだ」
「畏まりました。旦那様」
有無を言わせないお父様の声。
こうなったら、僕は断ることなんてできないんだ。
ましてや…
使用人である翔は…命令に従うしかない。