第3章 車の中でかくれてキスをしよう
「どうしたの」
「ん」
ニノが差し出してきたのは、派手な柄の海パン。
「は?なにこれ」
「プール。行こ」
「は?」
ぶーたれてるニノは、どうしてもプールに入りたいと暴れた。
「なんで俺なんだよ…雅紀とか智くん誘えよ」
「あの人達、部屋で飲んでるもん…」
俺は部屋で飲む前だった。
「えー…もう、風呂入っちゃったよ…つか、こんな時間にプールやってんの?」
「忍びこむ」
「えっ?」
超絶不機嫌なニノに押し切られて、俺はしぶしぶプールに着いてきた。
でもプールの入り口は締まってて、開いてない。
「ほらあ…帰ろうぜ?部屋…」
そう言ってたら、ニノは関係者入り口に勝手に入っていった。
「ちょっ…お前っ…」
慌てて後を追って行ったけど、俺まで関係者以外立ち入り禁止区域に入ってしまった。
つか、なんでここ鍵かかってないんだよ…
薄暗い廊下を歩いて、いくつかドアを開けていく。
「ニノぉ…」
「あ、ここから入れる…」
そっと俺たちは中に忍び込んだ。
そのドアを入ると、プールに直接出られた。
中は湿っぽくて、温かい。
塩素の匂いが懐かしさを感じさせた。
「なあ…ほんとに入るの?」
「うん」