第12章 しあわせはここにある-parallels-Ⅱ
”ねえ…見て、俺達を…”
なんで…?どうして…?
”おーちゃん…俺達も堕ちたよ…?見て…”
雅紀の掠れた声が鼓膜に蘇る。
”なんでっ…何してるのっ…やめてっふたりともっ…”
雅紀と潤の繋がった姿。
靭やかな身体と、生白い身体が交わっている。
”ちゃんと見て、大野さん…俺達も汚れたよ?”
潤の強い瞳が俺を射る。
”だから…おいで…?抱きしめてあげる…”
白い手が俺の腕を掴んだ。
”一緒に、堕ちよう…?”
甘い声…甘い囁き…甘い、快楽…
楽屋で眠ってしまった俺は、いつの間にか雅紀のマンションに居た。
目を開けて最初に飛び込んできたのは、裸の雅紀と潤がつながっている姿。
ソファの上に四つん這いになる雅紀の腕は、ネクタイで縛られていた。
そして、ソファに座るように寝かされていた俺の腕も…ネクタイで縛られている。
”ごめんね…?思い出すよね…でも、それも俺たちにちょうだい…?傍にいるから…ね…?”
潤の声が頭に響く。
”おーちゃん…ちょうだい…”
雅紀の熱が俺を包む。
「どうしたの…?なんで泣いてるの…?」
和也の温かい腕が、いつの間にか洗面台に突っ伏した俺を抱きしめていた。
「しあわせすぎて…泣いてるの…」