第11章 藪の中 reborn
恍惚とした表情の翔の顔の横に、白い腕が伸びてきた。
ベッドに手をつくと、翔の顔を隠してしまった。
そこに現れたのは、潤。
「ねえ…見えてる…?大野さん…」
「じゅ…ん…」
「ちゃんと見てよ…これがあなたの恋人だよ」
翔の足が折りたたまれて、そこに覆いかぶさっているのは半裸の潤。
もう、なにが行われているのか嫌というほどわかっていた。
「どういう…つもりだ…」
わかっていた。
潤が翔のこと、ずっと想っていたのは。
でも、俺も潤に負けないくらいずっと片思いしていた。
抜け駆けしたとは思わない。
だって翔の心は俺にあったんだから。
潤の腕が翔の身体を包んだ。
ぎゅっと抱きしめながら、翔のうっとりとした顔を眺めている。
不意に舌を出し翔の唇を湿らせると、翔の唇から赤い舌が出てきて、潤のそれに絡められた。
ゆっくりとその舌を食べるように潤の口が飲み込んでいく。
翔の口の端から唾液がこぼれ出て、顎を伝っていく。
「や…めろ…やめろぉ…」
お互いの口を味わうように唇が重なって、その間からは湿った水音がただ響いて。
翔の吐息が…その合間に溢れて散らばっていく。
「潤…ねえ…お願い…もっと強くシて…?」