第11章 藪の中 reborn
俺の恋人は…
遠いところにいる。
動かない身体、終わらない律動。
飛び散る汗、二人の体液の臭い。
永遠に止まらない時間を眠ることも許されず、ただ眺めていた。
気がついたら潤の姿はなかった。
ただすすり泣く恋人が隣に取り残されていた。
「翔…」
なんとか起き上がって、恋人の身体を抱きしめた。
「いやっ…触らないでっ…俺は…」
「嫌だ…帰ろう…翔…」
「もうっ…俺は智くんと居る資格なんて…」
「いいから…!帰るんだ!」
ふらつく身体でなんとかシーツで翔の身体を拭って服を着せた。
泣き続ける恋人に自分の被ってたキャップを被せ、潤のマンションを出た。
流しのタクシーを捕まえ、俺のマンションに到着する。
ほとんど歩けなくなった翔の身体を支えて部屋に入ると、すぐにバスルームに直行して翔を裸に剥いた。
「や…め…見ないで…」
潤と自分の体液…そして血液…
ぐちゃぐちゃになった翔を引っ張ってバスルームへ無理やり押し込めた。
自分も服を脱ぐと、そのままバスルームへ入った。
シャワーの湯に打たれる翔の身体は、綺麗で…
初めて見る裸体だった。
動けない身体を両手で包むように、壁に凭れて座っている。
その頬を両手で包むと、唇を近づけた。