第2章 翼をもがれた竜-episode0-
「わかってるよ…叔父貴達がそう簡単に許してくれるわけないしね…追われるのも嫌だし…」
ずっと言い聞かせてきたことだから、組長もわかっている。
わかってはいるけど、時々全部放り出したくなるのはこの人の性分だ。
「はい。だから俺がちゃんとしますから…その辺は。だから組長は組長の役割をきっちりと果たして下さい」
「うん。わかった」
つぶらな瞳で俺を見上げてきた。
くっ…
か、かわいい…
思わずぎゅっと抱き寄せると、俺よりも細いその身体が撓った。
「ねえ…今日はここで、朝まで抱いて?」
「…いいの?」
「うん…翔にめちゃくちゃにされたい…。だめ?」
「ああ…組長っ…」
再び組長をソファに押し倒すと、そのまま朝まで俺たちは組んず解れつを繰り返したのだった。
「若頭…起きて下さい…」
若衆頭の相葉に叩き起こされた。
「あれ…?組長は?」
「ゆっくり寝かせておいてやれって、帰られました」
「は…ん…怒られたんだな。姐さんに…」
全裸の俺にガウンを羽織らせると、相葉は苦笑いした。
「喜多川の姐さんにこっぴどく電話で怒られてました。”お日さんの出てるうちにおセックスかますとは何事だ”と」