第9章 櫻井翔のキケンな夜会4
ぐいっと雅紀が中に入ってきた。
目の前に白い火花が散った。
「あっ…ぐっ…」
手足が縛られてるから、痛みを逃すことができない。
ちょっとだけ曲げられる膝を立ててみても、何も変わらなかった。
めりめりと音が聞こえそうだった。
雅紀の質量が、お腹いっぱいに広がる。
「翔ちゃん…力抜いて…」
「む、り…」
痛みでどうしても力が入ってしまう。
雅紀は俺に覆いかぶさってくると、耳元で囁く。
「俺のこと、好きって言ったらやめてあげる」
俺は…まだ、雅紀に好きって言ったことがない。
雅紀に追いかけて貰うのが快感で…
いつも言ってくれないと泣く雅紀が可愛くて…
いつか言おうと思いながら、もう随分時が経ってしまって。
今更恥ずかしくて言えなくなってた。
「それとも…俺のことなんて、好きじゃないの?」
ぐいっとまた、雅紀が中に入る。
「風磨のほうが…具合がいいの?もう抱いたんでしょ?」
「ちがう…そんなことしてない…」
「じゃあ俺のこと好きなの?」
頷くけど、雅紀は許してくれなかった。
「言って…ちゃんと言葉にして…じゃないと…」
許さない
雅紀の口がそう動いた瞬間、俺の中に全て埋まった。