第3章 改めて初登校。
ホームルーム終了後、私は乙狩くんと並んで廊下を歩いていた。
目的地は体育館。
今から対面式だ。
アイドル科の全学年が総集合するらしい。
普通科とか声楽科の生徒達と合同でやっちゃうとどうしてもサインを求めて来る人が居るからなんだとか。最悪の場合、盗撮とかもされるらしい。
だから対面式はアイドル科だけ個別だそうだ。
その道すがら、私は乙狩くんと今朝の事について話していた。
ちなみに明星くんと遊木くんはもう1人の友達と参列するとかで教室から消えてった。
「・・・ではやはり、朴槻は大神から何の説明もされずに連れて来られたのか?」
『うん、連行されて理由も解らずに乙狩くん達と会って成り行きで歌わされたー。
今更ながらに、朝やってたライブってなんだったの?』
「あれはドリフェスの一種だ」
『ドリフェス?』
「ああ。
正式名称はドリームアイドルフェスティバル。略してドリフェス。
今朝のドリフェスはB1と言って、非公式で最低ランクのライブ対決だ。B1よりも上位ランクのドリフェスは全て生徒会に管理されていると言っても、過言ではない」
『へー・・・・・・あれで最低ランクなんだ。
あ、そう言えばさがみん先生が生徒手帳とハンコは逐一持っとけみたいな事を言ってた気がする。
なんだっけ、ライブを見る時に生徒手帳の後ろの方のページに押してもらうんだっけ?』
ふと思い出して、制服の内ポケットに入れてきた生徒手帳を取り出す。
ペラペラとめくって、ハンコが押されるであろうページを開いた。
「その通りだ。
ここに係りの者からハンコを押してもらう。
ハンコについては、もう聞いているのか?」
『んや、聞くの忘れてた。
自分の苗字のシャチハタとか印鑑を押すのかなって思ってたけど、違うの?』
「いや・・・学院の規定で、基本的にそう言った学院外でも使用出来るハンコは持ち込み禁止なんだ。
盗まれたら元も子もないからな」
『あらま・・・芸能学校って色々物騒なんだね』
まあ、この学校入る時にあんだけ厳しいセキュリティチェックしてるんだからそれも当然か。
現役の人とか休業中の人とか居る訳だし、熱狂的なファンならやり兼ねないよね。